Webデザイナー

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【Webデザイナーという職業】


【Webの特性】


【デザインの基礎】


【色彩学の基礎】


【Webデザイン参考書】わたしが参考にしている本を紹介します。


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Webデザイナーという職業



■あの仕事もこの仕事もWebデザイン?

 Webデザイナーと聞けば、確固たる専門職として仕事の内容は確立されていると思っているひとも多いだろう。だがいまだこれほど曖昧模糊として、これほど実態のはっきりしない職業もない。

 SOHOが話題になり始めた当初から求人募集で目立っていたのがWebページデザイナーだった。最近はWeb関連で募集される職種が「Webオペレータ」、「Webプログラマ」、「Webマスター」、「Web管理者」、「Webプロデューサ」などなどさまざまな職種に細分化されてきている。募集が実態に近づいてきたと言っていいだろう。

 しかし当初、Webページを制作するものをすべてまとめてWebデザイナーと呼んでいたため、いまだその後遺症でこの呼称では仕事の実態はわからない。

 Webページ制作とはとんもでなく広い範囲を表す言葉なのである。Webページは広告にもなれば、営業マンにも、店舗にもなるメディア。
 広告ひとつを取っても、その制作は幅広い仕事だ。

 いわゆる「1行数千万円」と噂されるトップクラスのコピーライターも、町の小さなお店から頼まれてチラシを作る町の印刷屋も同じ「広告制作業」としてひとくくりにまとめることができる。

 町の印刷屋ではデザインからイラスト、写真撮影、コピー、版下制作、印刷までひとりで全部やっていたりする。

 だがある程度以上のランクの仕事は細分化され、分業化されている。

 まずチーフ的職業だけでも多い。文章関連のまとめ役コピーディレクター、デザイン関係のアートディレクター、クリエイティブ全体のクリエイティブディレクター、イベントとのからみや媒体計画なども仕切るプロデューサー。

 各仕事のほうでは文章はコピーライター、イラストはイラストレーター、写真はカメラマン、デザインはデザイナーなどがいる。

 そして、彼らクリエイターがした仕事を印刷できる状態にするために、写植など文字入力関連はオペレーター、版下と呼ばれる原版を作る作業をする版下屋(フィニッシュワーカー)がいる。版下制作の仕事はデザイナーの指示に従って、厚紙に罫線を引いたり、写植と呼ばれる紙焼きされた文字を切って張りつけたりする仕事だ。
 最近は印刷関係も電子化されつつあるので、オペレーターと版下屋を兼ねたものがDTPデザイナーの仕事になっている。

 コンピュータ化と不景気の影響で、デザイナーがオペレーターや版下屋の仕事までやるケースも増えているが、この場合いくらDTPを使ってもDTPデザイナーとは呼ばない。彼らはあくまでグラフィックデザイナー(印刷物のデザイナー)であり、たまたまDTPを使っているだけ。

 実はDTPデザイナーはデザインをすることはほとんどない。荒い指示しかない仕事に関して、指示の穴を埋めるために若干デザイン的仕事をすることがある程度。
 HP制作の仕事でもデザイナーとして勤めた経験がないひとがやるレベルの仕事にデザインの要素が入ることは少ない。

 最近は版下屋としてのDTPやWebの仕事しか経験がないSOHOがデザイナーと称して売りこむものだから「デザイナーだ、経験があると言うから仕事を頼んだら、『指定してくれれば作れます』って言い出して、とんでもない目にあった。だからSOHOなんか信用できない」と嘆くひとたちにも会う。

 「デザイナー」と版下屋とを混同しないでほしい。
 そして「デザイナー」でも専門職のデザイナーと、トップクラスの仕事の印刷費程度の金額でデザインから印刷まで全部請け負うなんでも屋のデザイナーとがあることも知っておいてほしい。

 現在Web制作に関してはなんでも屋デザイナーのニーズがそこそこある。
 「いまどきホームページくらい持たないと時代遅れですよ」などと片端から店に営業をかけるローラー作戦にのせられて、ホームページを持っても意味がない町の小さな商店までがホームページを作っているからである。

 しかしそれにもまして「Webデザイナー」と称するひとびとが増えている。だから版下屋的仕事は金額的にも叩かれっぱなし、ページ100円なんて、とんでもないケースまで出てきている。
 なんでも屋でそこそこのライターやカメラマンとしての腕がないと仕事を取りにくい。しかもそこまでやってもページ数千円というケースが少なくない。
 もちろん真のデザイナーはデザインだけでページ単価も数万円、サイトをまるごと請け負うなら数千万円単位の仕事をしている。

 雑誌や本、あるいは専門学校でWebデザイナーの仕事の話を読んだり聞いたりするときには、そのWebデザイナーがいったいどんなクラスのWebデザイナーなのか判断しておきたい。さもないとスーパーのパートの仕事内容とデパートの社長の給料を聞いて「流通業に勤めれば誰でもできる仕事でこんなに稼げる!」と考えるにも似た勘違いすることになる。

 あなたはどのWebデザイナーを目指すのか、目指せるのか、まずそこから考えていこう。


■目指せ! 職人技

 前回、「デザイナー」と版下屋とを混同しないでほしい…と書いた。デザイン会社にも勤めず、独学でデザイナーになるのは極めて難しいが、版下屋(Webページに関してはWeb制作者と呼ばれることが多い)なら可能。だからといって版下屋的仕事がたやすいわけでは決してない。

 デザイナーはクライアント(発注者)の意向を読んだり、彼らを説得したり…など、相手からの指示以上のことをやらなければならない。だから上司、先輩のいる仕事の現場での修行が欠かせない。

 それに対して、版下屋は職人。基本的にはやるべきことはすべて発注の際に指示がある。先輩の元で学ぶほうがより良いが、独学でスタートすることも可能。だが高い技術力と正確な仕事を求められるので、決して易しい仕事ではない。

 Webページの版下屋ともいうべきWeb制作者は、Webに関する入力業の延長線上にある。入力業は「誰でもできる」と思っているひとが少なくないが、とんでもない!

 わたしはコンピュータ歴18年、最初から両手入力してきたので、入力速度には自信がある。Microsoft Wordだって解説書を書いているくらい、機能は理解している。学生時代に通信教育で校正を上級コースまで学んだし、仕事でも専門的に校正をやっていたときもあるので、入力した原稿の校正にも自信がある。
 にも関わらず「Wordで入力」の仕事をやれるかと聞かれたら「できない」と答えるだろう。

 入力、Web制作、図面の入力業とも言うべきCADなどを専門とするSOHOに求められることは……

1)使う道具に精通していること
 ソフトを一般的に使えるだけでは、とうてい「入力」の仕事なんてできないのである。裏技とでも呼びたくなるような技まで使わなければできないことも少なくない。
 Web制作者の場合はホームページ作成ソフトのほかに、HTML言語も覚える必要がある。最近はHTMLを知らなくても使える作成ソフトが豊富に揃っているため「HTMLなんて必要ない」と思っているひとがいるが、そうはいかない。作成ソフトはいろいろ癖があるので、作成ソフトで作ってもHTMLを書き直さなければならない場合もある。

2)指定を読めること
 デザイナーなどの詳細な指示に従って仕事することが多い。そのため相手の指示を見て、それを読み取る能力が必要。

3)指定どおりの仕事ができること
 これらの職業で絶対にやっていけないことは勝手な判断をして指定と異なるものを作ること。
 わからないこと、疑問に思ったことはこまめに聞こう。
 明らかに指示が間違っていると思った場合も相手に確かめよう。確認する時間がない場合は、正しいと思われるものを作った上で、相手に「これはまちがいと思われたので、こうした」と伝えること。
 できないと思われることを指示された場合に「このソフトではこれはできないから」と勝手に指定と異なるもので代用してはいけない。自分が知らないだけかもしれないのだから。

4)正確な仕事
 これらの職業で最も重要。まちがいが0で当たり前と考えられている。ひとつでもまちがいがあったら、大幅に信用を失う。
 必ずプリントアウトして、じっくり見直さなければいけない。
 だから仕事を受けるときには作るまでの時間だけでできる量を判断せず、入念なチェックと直しの時間も考えよう。





■職人を目指すひと向け情報

 入力関連の仕事をするひとにお勧めしたい雑誌を紹介しよう。

 雑誌『月刊 在宅入力者』。
 在宅入力のプロが作った雑誌で、テープ起し、校正などの仕事の実際から、さまざまなソフトの技まで内容は充実している。

 詳しくは
 ↓ ↓ ↓
「月刊 在宅入力者」



■運営まで引き受ける新しい道、OSP

 入力、DTPなどの在宅人気職業の最近の求人状況を見ると、どれも単独の仕事では受けにくくなりつつあると共に極限まで価格が下がっている。入力はレイアウトや資料整理と、DTPはライティングと込みでないとなかなか仕事がない。
 Web制作も、ディレクションやデザインまでできない、制作だけしか請け負えないひとの仕事は減りつつある。

 そこでグラフィックデザイナーやプロデューサーとしての実績や人脈がないWeb制作者の新たな生き方として注目したいのがオンラインショップパートナー(O.S.P)だ。

 O.S.Pの全国ネットワーク、有限会社win-and-win.netの代表、込山民子氏はフリーのシステムエンジニアから出産後に在宅のWebデザイナーになったが、収入も仕事量も先細りになっていくことを感じて、新たな職業O.S.Pを提案した。

 ショップの場合、商品の入れ替えなどもあり、ショップのオーナーがページ制作も行ったほうがいいと言われている。だが、それなりに繁盛してくると、実店舗も経営しているオーナーには負担が大きくなる。

 そこで登場するのが支店長感覚で仕事を任せられるO.S.Pだ。

 『「売上を上げること」を目的として、 オンラインショップの戦略立案・作成・運営・販売促進を成功報酬制で行う職業』。これがwin-and-win.netによるO.S.Pの定義。  この職業ではショップ経営のノウハウも必要だし、売上という結果を出せなければ収入もない。

 だが、経験や実績が少ないSOHOに手が届く中で、これほどやりがいやおもしろさという点では充実した仕事はなかなかないだろう。

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